或る二世経営者のホームページ ~香山廣紀 かく挑み、かく歩む。~

香山草紙 エッセイ集


  8. 色

暇な時に、広辞苑を開かれることをお勧めする。
最近気になっている「色」という項目を引いてみた。大別すると二つの意味がある。ひとつは"色彩"、もうひとつは"恋愛"。
私の少ない海外旅行経験と浅い知識から察するに、日本ほど四季の美しい国は他にはないと思う。
春は桜、夏は夕立、秋は紅葉、冬は雪。
今少し列挙してみると、
<春>啓蟄、彼岸、朧月、陽炎、野焼、雛祭り、鶯、猫柳、芹、土筆
<夏>入梅、土用、更衣、浴衣、氷水、蚊帳、花火、時鳥、鮎、初鰹、蛍
<秋>夜長、月、野分、新米、秋刀魚、鈴虫、柿、秋桜、菊
<冬>短日、木枯、氷柱、足袋、焚火、顔見世、河豚、落葉、水仙
(参照歳時記)
どれをとってみても、移り行く四季の様子を肌で感じることが出来る。指先の感触、頬を撫でてゆく気配、鼻の奥で嗅いだ香り。そして、それらから様々な色を連想することも容易だ。
しかし最近、街から色が消えつつあるのではないかと嘆いている。特に若い女性は、ほどんどが同じような髪型をし、病人のような口紅を差し、黒かあるいはく すんだ色の洋服を着ているように思う。それは多分に、結婚、妊娠、出産のため休業をしている超アイドル歌手の影響があるのかもしれないが、街は殺風景に なったものだ。私の娘も、私が買い与えた赤いコートなど着ようともせず、自分で選んだ黒いヤッケのようなものを着ている。茜色とか藤色、あずき色などとい う言葉さえも、死語になっているのかもしれない。又、自然とつきあう機会が減ってしまったのかもしれない。
もう一方の"恋愛"の「色」について更に調べてみると、色男、色香、色敵、色狂、色事、色黒、色知....ときりがない。どれもこれも文字を見ただけで胸 の高鳴りを覚える。携帯電話での待ち合わせも合理的だが、次の逢瀬の約束は会っている時にするものだ。次に会う日を思いながら時間を過ごすほうが、私は好 きだ。源氏物語ではないけれど、後朝の文を送り、たっぷりと余韻を楽しみたいものである。