或る二世経営者のホームページ ~香山廣紀 かく挑み、かく歩む。~

香山草紙 エッセイ集


  58. 官兵衛登場

この1年ほどの間に悲しい別れが三つありました。
一つは昨年5月に私の母が76歳で亡くなりました。直接の原因は肺炎ですが、亡くなる半年ほど前に階段から落ち、ほとんど寝たきり状態になり、精神的に落 ち込み、又、その上に自分の身の回りで起きた度重なる出来事に心を痛め、帰らぬ人となりました。母との思い出といえば私の中にあるのは楽しい思い出よりつ らい暗いことの方が多くあります。私が6歳の時、小児結核にかかったのですが、母も同じように結核になり、2人して地元の病院で8ヶ月もの長きにわたり闘 病生活を送りました。それから私が高校生の時、母は目を患い(後に分かったのですがベーゼット病だった)一時は神戸の病院で手術を受け、かなりのところま で回復していたのですが、晩年はほとんど視力はなく、それが原因で階段からも落下したのです。"視力がなかった"ことにより、盲導犬協会に幾ばくかの浄財 をさせて頂くというご縁が出来たことは、母の意志の表れと思って大変嬉しく思っております。でも、せめてもう10年は生きていて欲しかった、そして私の人 生の序章が完結へと進んでいく過程を見守って欲しかったと思います。振り返っても母の人生の大半は苦労の連続でした。今は安らかにと願うばかりです。
二つ目は、愛猫"カーコ"との別れです。それについては『手紙』で記しましたので、改めて述べませんが、未だ私の心の中で引きずったままです。
三つ目の別れは17年半私達の子供として、雨の日も風の日も、暑い日も雪の寒い日も一緒に暮らしてきた、愛犬"サンタ"の死です。これは、私よりも家内の 方がショックが大きく、立ち直るのに時間がかかりました。彼女は気分転換に娘の処(ウィーンで未だ学生)へ行ったりして、ようやく回復の兆しが見えました ので、サンタの死から49日が過ぎたのを機に、同種の柴犬を神戸の玉津で買い求めました。それが"官兵衛"です。官兵衛についてはいずれまた詳しく紹介い たしますが、私達の元に来てからやがて1年が過ぎようとしています。
現在私は56歳です。今後の20年が私の人生の仕上げです。悲しい別れもありましたが、素晴らしい出会いもあります。この宇宙に存在する森羅万象に生かさ れていることに改めて感謝し、誰かのために轍を残したいと願っている今日この頃です。