或る二世経営者のホームページ ~香山廣紀 かく挑み、かく歩む。~

香山草紙 エッセイ集


  2. 常識

本当に月日のたつのは早いもので、今年もあと1ヶ月程になりました。皆様にとりましてこの1年はどんな1年でしたでしょうか。私は今からゆっくり考えてみようと思っています。
先日、友人がこんな話を私にしました。
「お前もよく知っている、Aさんの奥さん、常識のない人らしいね。この間Aさんが亡くなったとき、生前Aさんと親しかったBさんが言ってたよ。葬式のこと やそのほかの段取りがわからないからって言うから、いろいろシテヤッタのに、葬式が終わってから礼にも挨拶にも来ないって」
私はその友人にこう言いました。
「それはBさんの言い分だろう。じゃ、一体常識って何なんだ?誰が決めたの?君の話だけで判断するのは難しいが、私はBさんがシテヤッタのに、と言った言 い草が気に入らない。Bさんはシテヤッタと思っているかもしれないが、Aさんの奥さんはシテイタダイタとは感じていないと思うよ。第一、Bさんの意識の中 にそういう気持ちがある以上は、Aさんの奥さんは御礼など言いたくもないだろう。自分の友人であるAさんの死に際して、いろいろなお手伝いをサセテイタダ イタと、Bさんが感謝すべきじゃないかな。シテヤッタ、シテヤッタと思っているから挨拶にも来ないなどと言って腹を立てたりするんだ。サセテイタダイタと 思ったら、有り難いとこそ思え、腹など立つ道理がない」と。
その他、様々な例を挙げ友人に、これでもか、これでもか、という程繰り返し話をしました。もう彼も二度と私にはそういった類の話はしないでしょう。私はその種の話題が大嫌いなのです。
もう5~6年前でしょうか、中途採用で入社してきた社員が、社内旅行から帰ってきた翌日、私の部屋に来て、
「旅行に行かせていただいて有り難うございました」
と言ったことがあります。私は、
「君に礼を言われる筋合いはない。私が君の分まで金を払った訳じゃない。君達が楽しかったなら、それでいいんだ」
と言いました。彼は、ぽかあんとしていました。給与やボーナスももちろん、<私はこれだけしてやっている>などと一度も思ったことがありませ ん。当たり前のことかも知れませんが、中小企業では8割以上のオーナー社長は、<シテヤッタ>と思っているし、実際に声に出して言っていると 思います。もし、それが常識なら、そういう企業は21世紀には生き残れないでしょう。