或る二世経営者のホームページ ~香山廣紀 かく挑み、かく歩む。~

或る二世経営者の挑戦


第三部 ~すべてはお客様のために~


第一章 受注量を設計で 決めるのか!

此処2~3年阿呆の一つ覚えみたいに「平準化、平準化」と言い続けている。どうしても3月と9月に事業数字が偏ってしまうのである。どれ位かと言うと、3 月と9月で2分の1、つまり半分ほどで残りの10ヶ月で半分、といった割合である。受注も着工も完工も全てがである。それは多分に中間も含めた決算時期が そうさせているのであるが、住宅業界に於ける全国的な傾向でもある。しかし、その傾向が決して好ましいものとは誰も思っていない。早く何とかしたいと願っ ているはずである。
無論当社もそう願っている。がしかし、3月と9月に事業数字が上がっている企業はまだ辛うじて利益が出ている企業で、上がらない企業は赤字である。勿論そ んなことにはお構いなしにコンスタントに数字を挙げている会社も、数は少ないがある。そんな会社は当然の如く優良企業である。我々の仲間(サンホームの販 社、所謂協業会社)18社中2社がそれに当てはまる。10社は弊社並で、残りの6社は赤字である。住宅業界もほぼ同じような分布に分けられると推察され る。
私はこの九月(2003年)は少々変な雰囲気を感じていた。特に戸建部門の営業マンのモチベーションがいつもの9月のように上がってこないのである。目の色も変わってこないし、例の血走った感じが伝わってこないのである。
私は担当の常務である川上を私の部屋に呼んだ。川上は度々この四方山話には登場する人物だが、元メーカーからの出向社員で、彼にしては本当によく決心をし たと思うが、メーカーを退職しサンホーム兵庫に転籍したのである。アパート部門の営業としてメーカーからやって来て、そこそこの実績を残しアパート部門の 事業部長を経て取締役戸建事業部長になった。本人は嫌だったらしいが私は管理向きだと思い、常務に昇進させ取締役情報管理部長を任せた。3年ほど管理面を 担当したが、その後分社戦略の一環として設立した㈱ガーデン兵庫の社長に就任した。彼の後、戸建を担当させた人物はスケールの面では大きく人間的には好人 物なのだが、実際の実務になると細々した所にまで目が届かず、私がそれをやる羽目になった。これでは私の業務に支障がきたすことになり兼ねないと思い、急 遽ガーデン兵庫から就任1年で川上君を呼び戻し現在の部署、つまり戸建事業部長を再び任す事にしたのである。
「9月やというのになかなか受注が上がってこないが一体どうなっているのか?」と、私は尋ねた。
「・・・・・・・・」
「言いにくそうやけど、何?」
「はぁ、私が受注はあまり上げなくてもいいと、言ったのです。20棟くらいで充分やと、言ったんです。」
「なに?お前の言っている意味がわからないが、どう言う事?」
「現状社長も解っておられると思いますが、設計システムが大幅に変わり、うちの設計部門は今グチャグチャでしょ。だからこれ以上受注や何やかやで設計陣を 混乱させたらこの先大変なことになるので、控えるように指示を出したのです。」
私はコメントのしようがなかった。直ぐには次に出す言葉が見つからなかった。
「それ本気で思っているのか?もし本気ならお前は狂っているとしか言い様がない。歴代の営業責任者でラインのトップが、契約を控えろという指示なんて聞い たことがない。設計部門の能力で受注量を決めるのか!受注量は企業の利益計画を元に決めるものではないのか!受注残があり、ダムにも水がたっぷりあるのな らそんな悠長なことを言っておられるが、今の当社の状況は解っている筈だろ?信じられない!」
「すみません」と言って彼は私の部屋から出て行った。
彼は設計陣の混乱を見るに見兼ねて、つい受注制限とも取れるような指示を出したのであろうが、私に諭されて(本当はもっと汚い言葉で怒鳴ったのである が)、すごすごと去っていった。結局その9月は通常の半分の契約しか挙がらず22棟だった。アパート部門が頑張ってくれてその期の決算は、僅かではあるが (5000万円)黒字となり、何とか事なきを得たのである。
教訓-人間は混乱すると想像もつかない発想をするものだ、木を見て森を見ず、着眼大局着手小局、ヘリコプター人間たれ(上も上がれるし下にも降りれる)
平準化-その言葉は今期で(27期)是非死語にしたいものだ。

■PDFで読む