或る二世経営者のホームページ ~香山廣紀 かく挑み、かく歩む。~

或る二世経営者の挑戦


第三部 ~すべてはお客様のために~


第一章 聴聞会

毎月月初にサンホーム兵庫では、月例報告会と称して全体会議を行っている。先ず企業理念を唱和し、次いでその月に生まれた人に誕生祝と称して図書券を送 る。貰った人は備え付けの貯金箱に幾ばくかの浄財を入れる。貯まったお金は年末ギャラリーで行っているチャリーティの収益金と一緒に、福祉団体に寄付して いる。もう20年になる。それから結婚祝とか出産祝いや様々な資格を取得した者がいればそのお祝いもする。
次いで表彰に入る。『月間MVP』(当月で最も業績の優れた営業マン、但し最低ラインは決まっている、それに届かなかった場合は該当者なしになる)『月間 MVM』(当月で最もチーム生産性の良かった営業チーム、但し1人あたり1棟以上の生産性、達成したチームには達成賞はある)『優秀営業マン』(3ヶ月以 上連続して受注を上げている営業マン、今当社では13ヶ月連続者がいる)『営業敢闘賞』(月に2棟以上の受注でMVPには届かなかった者)『あめにてぃ 賞』(戸建住宅で請負が3000万以上、アパート部門で請負が5000万以上の契約営業マンに対して、私が30年来贔屓にしているステーキハウスのディ ナー券をプレゼントしている。その券1枚で2名まで有効なので、奥様や家族と一緒にと言う意味が含まれている、一度その味を覚えると営業は鼻高々になる し、また家族の理解も深まり協力もして貰えるようだ)『高収益賞』(規定の利益率を3%以上オーバーした物件に対して、それに関わった営業、工事マン、設 計者が該当)そして最後に前述のグリーンカードによる『緑賞』を発表しながら私の話へと進んでいく。私の話が終わってから各部の責任者が、先月の反省やら その月の方針を述べる。最後に各プロジェクトの進捗状況の報告があり、大体1時間半から2時間位で月例報告会は終わる。
それからやっと聴聞会が始まる。もう5~6年続いていると思うが、利益率が低下した物件についてその原因を問いただす会である。利益率の低下と言っても2 種類ある。契約利益率から実行予算を組んだ時の利益率が低下したもの、実行予算利益率から売上利益率が低下したもの、それぞれについて1%以上低下した邸 名がその対象となる。
聴聞会は何故?から始まる。主な原因は、「営業マンの程のいい口約束」これは昔はよくあったが今は減って殆どない状態である。「工事監督のミス」時々ある が少なくなってきている。「設計者及び積算者の能力不足」実はこれが最も多く大半を占めている。特に高額物件に多く見られる。知識そのものが不足している 場合と、お客様の本当のニーズ、潜在ニーズを受け止める感性がない場合がある。知識不足なら覚えればすぐにでも解決しそうなものだが、実際のところなかな かそうはいかない。先ず膨大なサンホームの部材の種類があり、それを覚えた時分にサンホームの部材が変更になったり、設計システムや積算システムが変わっ たりで、追いついていないのが現状である。また営業や工事監督や下職とのコミュニケーション不足も重なって、お客様の意図が上手く伝わっていないのであ る。要するに対応能力が足らないのである。だから現場が動き出すと、変更ややり直しが発生し利益のダウンに繋がっている。感性不足については正直言ってそ の処方箋はない。日頃から美術館へ行ったり、本を読んだり、映画を観たり、歌舞伎を鑑賞したり、少々高くても美味しいものを食べに行ったり、旅にも時々は 行ったりして、感性を磨くしかないのである。これは何も設計者だけの問題ではなく全ての社員に当てはまる事柄である。
私は死んだ子の歳を数えるつもりはない。再び同じ失敗を繰り返さないために言っているのである。でも似たような事例は毎回出てくる。私はそれがいかに無駄 で誰のためにもなっていないことを、根気よく説くのである。これだけCSとか満足をお届けする、と言っていても時々はお客様にクレームを頂戴する。その現 場は間違いなく利益率は悪い。つまり儲かっていないのである。『儲からない現場ほどクレームが多い』は、住宅業界においては真理である。儲かっている現場 でクレームを頂戴したことは、私は35年間住宅の業界に身をおいてきたが、1件もない。
でももうそろそろ廃止したい事柄の一つである。最近は件数も以前よりは少なくなり始めたし、なにせ私の人生における時間も限られているので、あまり無駄な 時間を費やしたくないのである。来年の3月を目途に終わらせようと思っている。

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