或る二世経営者のホームページ ~香山廣紀 かく挑み、かく歩む。~

或る二世経営者の挑戦


第三部 ~すべてはお客様のために~


第一章 バイキング料理 ② 奥様ボーナス

このメニューの歴史は古い。私が営業、工事監督、アフターサービスとひと通り現場をこなし、岡山営業所長として2年で軌道に乗せた後、後任のものにバトン を渡し、本社で統括部という訳の分からない部署でスタッフとして籍を置いたことがある。経理や財務の勉強をしながら、外から実務を離れて企業を見ろとい う、親心だったのかも知れないが、私は退屈で仕方がなかった。何せ決まったやるべき仕事がないのである。
記憶は定かではないが、何かの雑誌か本で目にしたのだと思うが、従業員の家庭訪問をしようと思いついたのである。当時それでも社員は50人くらいはいたと 思うが、一晩に2人、1人あたり約1時間をかけて行った。面談相手は妻帯者は奥様、独身者はご両親特に母親とした。面談内容は会社をどう思っているか、仕 事について不満はないか、特に困っていることはないか等々だったと記憶している。
家庭訪問に約2ヶ月くらいかかったと思うが、たいした問題はなかった。唯今もあまり変わらないが、兎に角夜が遅いので心配である、という意見が圧倒的に多 かった。私は結果を父である社長に報告し、『是非奥様ボーナス制度を考えて欲しい』と提案した。勤務年数によって3年以上10年未満、10年以上と二段階 に分け、金額も10年未満が3万円、10年以上が5万円とし、その直属の上司が妻帯者は奥様に、独身者はお母様に直接手渡すという形式にした。30年近く も前の話であるから、今もその金額のままだということを考慮すると、当時はかなりのインパクトがあったのではないかと推測される。
20年程続いたが、私がサンホーム兵庫に来て5年位経過した時に廃止した。何故かと言うと、『持参せよ』と言っているにもかかわらず、訪問するのが面倒な のか会社で直接社員本人に渡したり、『必ず1時間は面談しなさい、そして最低これだけのことは聞いてくること』と教えていたが、訪問しても庭先で郵便配達 人の如く手渡すようになった。しかも経理上本人の給与所得として処理するしかないのだが、微々たる税金について不満を耳にしたのである。奥様やお母様に対 して日頃の協力に礼を言い、今後更なる支援をお願いすると同時に、家庭がうまくいっているか、生活が華美になっていないか、身分不相応なこと、例えばセカ ンドカーに外車があるとか等々を確認するという、本来の趣旨から逸脱し始めたのが、その主な原因である。今まで当り前になっていたことがなくなったのだか ら、私の耳には入ってこなかったが不満は鬱積したと思う。私は一切を無視した。そして誰もが忘れてしまった頃を見計らって、3年前に復活させた。
今回は幹部にその目的を徹底させ、冬のボーナスの1回だけにした。そして必ず報告書を提出させている。私も直接の部下2人の家庭訪問をしている。私の妻も、私の長男がその資格があるため、大いに楽しみにしている。

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