或る二世経営者のホームページ ~香山廣紀 かく挑み、かく歩む。~

或る二世経営者の挑戦


第二部 ~豊かさと自由を求めて~


第一章 私の事業計画のたて方

'98年もあと1週間程で終わろうとしている。最近私にとって夜が短くなっている。と云うのは、朝早く(AM5時45分)起き、毎朝全く同じメニューの朝 食を取り、散歩をするので夜は必然的に早く寝るようになる。その私が大晦日の夜だけは除夜の鐘を聞いてから休むのである。紅白歌合戦を見るためかという と、それもあるが、やることが二つある。
一つは、私自身を誉めるためである。経営者なかんずくトップは滅多にというより、殆ど誉められることはない。しかし、人間は百人共誰かには認められたいと、思っている。
「今年1年よう頑張ったなあ。偉い偉い」
と、呟きながら、心の中で自分自身の頭を撫でてやるのである。そして、子供達へのお年玉(働くまでは幾つになっても、と思っている)を袋に入れながら、無事に過ごせたことへの感謝をする。
今一つは来期の事業計画のテーマと経営目標数字をどうするのか、考えるのである。例えば、今期のテーマは『共生』であり、前期は『新たなる挑戦』で、その 前が『知恵と勇気』、もう一つ前が『自分自身で考え行動する』と溯っていく。経営数字の方はよく覚えていないが、売上目標数字と、今期末の受注残目標数字 だけを自分で決めるのである。細かなやり方やシステムや数字などは、私が決めた事もないし興味もない。
毎年2月の第1火曜日と水曜日の2日間を使って、事業計画策定会議を行う。数年前まではその会議にコンサルタントにも参加してもらい、色々とアドバイスを 受けていたのであるが、3~4年位前からはその必要もなくなり、本当に手作りで進めている。またその会議の出席メンバーも毎年同じとは限らない。役員とか 事業部長クラスは変わらないが、その他は流動的で「選ばれるのも報奨だと思え」と言ってある。事実、私の独断であるが、この1年目立った活躍をした課長ク ラスから選出し、出席させている。
会議の冒頭に小一時間程話をし、最後に大晦日に考え決めたテーマと目標数字を発表するのである。先ずそれらについての質問を受け、議論を交わす。大体これ で1日目の午前中が終わる。午後はそれぞれの組織のミッションについて確認をし、ミッションの測定基準を設定し、数字目標、運営目標、各人の強化目標など について話し合い、夕方模造紙に書いて発表してもらう。発表を終えたその都度、質疑応答が行われる。と言っても殆ど私が質問をするのだが、1回でOKが出 た試しはなく、夜はエンドレスで更に話し合いが続けられるのである。しかし実際は事業計画の話は半分以下で、普段忙しさに追われてゆっくり話しをする暇が ないので、無駄話が多いかな、と思っている。が実はこれが大切なのである。世の中、一見無駄そうに見えて本当は大切だったり、大切そうに見えて殆ど無駄な 事に一生懸命になったり、と云う例は数え上げたら幾らでもある。物事の現象は大概が表裏一体で、紙一重のことが多い。それに気がつかず騒いでいるのを観る 時、一種の滑稽さを覚える。
翌日の朝9時、眠いが頭だけは妙に冴えている状態で会議は再開される。私は昨夜の議論の深さだけに注意を払い、もう細かな事は一切言わない。後は4月の上 旬に行われる方針発表会を待つだけである。サンホーム兵庫には『18ヶ条の憲法』と5重円に纏めた『心の経営』と題した運営図表がある。(この2つについ ては後述する)それと先ほど確認し合ったミッションもある。これら3つに合っていれば基本的にはOKなのである。前著にも何度となく書き記したと思うし、 『18ヶ条の憲法』の第一条にもあるように、経営のコツは'合うか合わないかで判断する'が、分かるか分からないかである。ワカルとは、少々くどいが頭で ワカルではない。腹でワカルである。
私は、人間は思いつくことは何でも可能だと思っている。また逆に思いつくことしか出来ないのである。そう考えればわりと楽になり、今まで見えなかったこと が見えてきたりするものである。山も麓と頂上では見える景色が違うように、いろんな物が見えてくる。私は率先して出来るだけ高い山に登ろうと思っている。 例え振り向いた時に誰もいなかったとしても、私はこれからも登り続けるであろう。それが私の大きな仕事の一つだと思っているから。
今年も残りわずかになってしまった。我々が当面の目標だった百億円企業も、2年で陥落することはほぼ確定的である。多少残念だがこれも現実なのだから受け 入れざるを得ない。新たな出発という気持ちは余りないが、一つの正念場であることは間違いなさそうである。もうテーマも目標数字もほぼ決まっている。

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