或る二世経営者のホームページ ~香山廣紀 かく挑み、かく歩む。~

或る二世経営者の挑戦


第一部 ~君は父親を越えられるか~


第三章 社名が変わる

全国の協業会社が一斉に、平成3年10月1日をもって、社名が変更になった。サンホームと云う商品名を前面に押し出す事により、一層のイメージアップを計 り、それに地域名を付けることでエリア戦略をより徹底する為に、メーカーの指導のもとで行われた。我が社は『新光ロイヤル住宅』から『サンホーム兵庫』に なった。
何年か前に、社長の所へメーカーの専務が社名の変更を考えて貰えないか、と云う相談に来た事があった。具体的には、新光ロイヤル住宅の新光の代わりに地域 名でも県名でもどちらでもいいから、自由に選び、○○ロイヤル住宅に変更して欲しい、と云う依頼だった。社長である父は、息子が良いと言ったら考える、と 答えたそうである。メーカーから私への打診はなかった。その当時の近畿地区の統括部長と私とは、個人的に親しくしていたので、おそらく私自身をよく理解し ていたのだろう、話もなかった。社長からその事を聞いて、私は統括部長に、社名を変更する気持ちのない事を伝えた。もしどうでも、変えなければならないの だったら、1億は貰わないと引き合わないと言った。事務的な費用だけでも、1千万はかかるし、これまで過去25年の間に培ってきた新光と云う信用料や広告 宣伝料は、お金では換算できない無形の財産である、と言った事を覚えている。統括部長も、それは当然であるし、1億では安すぎると言った。これは余談だ が、その統括部長は、それからすぐ山口県の協業会社に専務として出向になり、今は九州の或る協業会社の副社長として悪戦苦闘しておられる。山口へ赴任され る時に、送別会を川奈で行った。桜の綺麗な頃だった。またその後、山口に御招待を受け、料理旅館松田屋で河豚のフルコースを御馳走になった。九州にも是非 遊びに来るようにと誘われている。メーカーの人間の中で、私の好きだった一人である。
現在サンホーム兵庫の資本金は4千5百万である。その内、メーカーが48%、新光建設が48%所有しており、残りの4%を私と社長と常務2人が持ってい る。来年の平成6年の3月で第15期を迎える。従業員は109名で、内訳は、男子が88名、女子が21名である。平均年齢は29.7歳と若い。組織は、大 きくは管理部と事業本部に分かれており、管理部は井上常務が担当しており、経理、人事、庶務、広報、総務一般と不動産部門を統括している。一方粟倉常務が 担当している事業本部は4つの事業部に分かれており、第一事業部は姫路を中心に、播磨の西地区の戸建を担当し、第二事業部は加古川、明石を中心に播磨の東 地区の戸建を担当している。サンライフ事業部はアパート事業を担当しており、リフォーム事業部は増改築を担当している。他に事業本部内には、アフターサー ビスを主に担当しているSP課と、法人を中心に官公庁やショップ店の開発を進めている営業開発課がある。平成5年度の3月期の決算はほぼ数字が読めてお り、売上は60億、利益は1億5千万は確保出来る。問題は受注残をどのくらい持ち越し出来るかである。目標は、50億に置いている。それが確保出来れば、 来期の売上70億も達成可能である。私の腹積りでは余程受注が落ち込まない限り、達成出来ると踏んでいる。会議では危機感を訴えているが、そこそこ営業力 が付いてきているので、心配は余りしていない。
このような裏付けの基に、来期には是非実行したいと思っている事がある。先ず、資本金を倍額、つまり9千万に増資したいと思っている。出来れば、メーカー 40%、新光建設48%、残りを個人の所有にしたいと考えている。でも、メーカーとの交渉は難しくて、メーカーの持ち株比率45%は譲らないと予想でき る。妥協点を見いだし倍額増資は是非実施したいと思っている。次に、新しく取締役に1人抜擢したいと思っている。誰をするかはもう決めている。と同時に、 多少組織を変更し、出来れば経営企画室か社長室に匹敵するような部署を作るつもりである。これも意中の人物はいるが条件がある。その条件とは、彼はメー カーからの出向社員なのだが、彼がメーカーを辞めて当社の社員になる事である。彼がメーカーを辞める可能性は、半々である。
社名が変わって2年が経過した。始めの半年くらいは何かしっくりこなかったが、1年経ち、2年が来るともう慣れてしまい、誰も新光ロイヤル住宅の事は忘れ てしまった様である。寂しい限りであるが、これもまた世の流れであろう。得た物より、失った物の方が多かったが、前を向いて歩まねばならない。我々にとっ て存在するのは過去ではなくて、未来なのだから。ブライトフューチャーしかないのである。

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