或る二世経営者のホームページ ~香山廣紀 かく挑み、かく歩む。~

或る二世経営者の挑戦


第一部 ~君は父親を越えられるか~


第二章 仲人を頼まれて

今年は、私達夫婦にとって仲人の当たり年である。4月、10月、11月、そしておまけに年末押し迫った12月の25日と、4組の予定が入っている。今までに仲人をさせて戴いたのを合わせると、合計9組になる。大変名誉な事だと感謝している。
その中で最初に頼まれた時は、少々緊張をした。勝手が解らないので、既に50組以上仲人をしている、ベテランの父に要領を聞いた。無事終わった時、全身で 疲れを感じたのを覚えている。この10月には、お施主様の御子息の仲人をさせて戴く予定になっている。アパートを2棟と、住宅を2棟建てさせて戴いてい る。そのうち1棟は勿論、今回の新郎新婦の新居である。仲人は建築屋冥利につくと思い、快くお引き受けした。大変有り難いことである。
確か4組目だったと思うが、今でも申し訳ないと思っているカップルがある。父の代理を務めた時だった。式の1週間程前になって、急に父はお前代わってや れ、と言ったのである。その理由を尋ねると、小学校の竣工式に出席しなければならないので、お前やれ、と言うのだ。私は、竣工式より仲人の方が大切だと思 う、私が竣工式に出席するから、貴方は仲人をするべきだと言ったが、聞き入れなかった。相手の両親にも話は付けている、と言うのだ。ほってはおけないの で、納得がいかないままに私達が仲人をした。どちらが重要などと、比較にもならない事柄だと、私は今でも思っている。辛い仲人だった。
人は生まれ、やがて死んでいく。これは森羅万象、宇宙の原理である。
一度計算をしてみると面白いと思う。私は父と母から生まれた。父と母もその両方の父と母から生まれている。計算機で、2×2、と押し、後は、=を押し続け る。20回押すと、すなわち20代溯ることになる。数字は2,097,152になる。30回押すと、2,147,483,648になる。これはどう云う事 かといえば、自分を基準に何代溯ると、何人の人間の血が混じっているかと云う数字になる。20代溯ると、つまり約2百万人の人間の血が流れていると云う事 になり、30代溯ると驚く勿れ、21億の人の血というか魂と云ったほうが適切かもしれないが、脈々と流れているのである。たった20代30代でですよ。そ の間で、一寸間違いが生じていたら、現在の私達は存在しないのである。これを偶然なんて云う生易しい言葉で片付けるのは、奢りと言うほかはない。
私は、この世に[生]を受けると云う事は必然だと思っている。どこから[生]を受けるのかと、問われたら、浅学の現在では、宇宙からだとしか答えようがな い。必然として[生]を授かったのであれば、何かをするために生かされていると思う。その、何かをいち早く見付けたいものだと思っている。
仲人を頼まれて、最初の難関は私の妻である。妻は、はっきりいって仲人は好きではない。機嫌の良い頃合いを見計らって、実はいついつ仲人を頼まれたのだ、 と切り出す。答えはいつも決まっている。仲人用の『オンナ』を探せ、と言う。私の答えも決まっている。会社の社員が沢山来るのに、みんなお前の顔を知って いるからそんな事出来ない。そんな会話を、これから何回繰り返すのであろうか?因に、妻への仲人日当は1万円である。
仲人をして最も気になることは、離婚である。幸い今のところ1組もないが、今後もあって欲しくないと願っている。やはり、離婚したという便りを聴くのは寂 しいものだ。次に気になるのは子供が生まれたかどうかである。1組目と2組目がまだのようで、一時私が仲人をすると、子供が産まれないのでは、と云うジン クスが流れて、内心私は気にしていた。しかし、3組目と4組目の夫婦に、生まれたと聞いてひと安心をしている。ひとつ残念な事は、最初に仲人をした社員が 辞めていったことだ。でも、幸いなことにその彼は、私どもの会社の下請の協力会社に入り、仕事をしてくれている。せめてもの救いであると思っている。

■PDFで読む