或る二世経営者のホームページ ~香山廣紀 かく挑み、かく歩む。~

或る二世経営者の挑戦


終章 ~それからの「或る二世経営者」~


Ⅸ ニューマテリアル兵庫の章

ニューマテリアル兵庫の前身は、「新光住宅産業」と言い、今から38年前に新光建設の資材部門から独立した、いわば分社第一号の企業である。当時は吉田氏が、新光建設の常務と兼任して経営に当たっていた。私のおぼろげな記憶によると、小さな倉庫の一角で、4~5人程度の従業員で業務を営んでいた。新光建設の資材部門の時は、決して収益部門ではなかったが、独立するや収益会社となり、この38年の間苦しい時期もあったが、一度も赤字決算を経験したことはない。《少数にすれば精鋭になる》という私の持論は、その後の分社戦略を展開する上で、勝算をもって進める事が出来る自信に繋がっていった。

 吉田氏が新光建設の役員を退き、新光住宅産業の社長として経営に専任するようになってからは、新光住宅産業の業績は格段に伸張し、超優良企業となっていった。が、反面他のグループ会社にとっては様々な犠牲を強いられるようになった。吉田氏の影響力とパワーの前では、値段交渉を出来る環境ではなかった。その上、被せる様にして、私の父が援護したものだから、新光住宅産業の提供するものは全て提示価格で購入しなければならなかった。電気配線工事や内装工事にまで業務を拡大し、新光住宅産業は成長し続けて行った。

 創立20年と吉田氏の定年(65歳)もあり、吉田氏は社長から退くこととなり、社長を私にと要請があった。私は固辞したが、その頃には吉田氏と私の父親との関係が悪化していたこともあり、吉田氏の心情、つまり父に対して永年の信頼が裏切られた感を思い、それを受け入れた。日常の業務は和田君が代表権のある専務として執り行うことになった。しかしネットワーク企業の積年の不満は根強く、その風当たりは新光住宅産業には厳しかった。しばらく業績は横ばい状態だったが、3年も経過すると和田君と私との経営に対する価値観があまりにかけ離れていて、その溝を埋めることが不可能と悟り、彼を解雇した。その後経営執行責任者は、山脇→平田→細田→丸山と約2年位の間隔でめまぐるしく代わって行ったが、3年前からは私が社長兼会長として経営に携わっている。このような状況が決してあるべき経営形態でないことは認識している。ニューマテリアル兵庫の社員には誠に申し訳ないと思っている。一日も早く真の経営責任者を育てることが私の早急の任務だと思っている。その時期は早いほうが望ましいが、これまでの悪しき過去の反省も含めて、次期は長期に亘り経営を担える人物と考えている。

 創業以来、倉庫を増築したり改装したりして、誤魔化しながら業務を続けていたが、手狭になり職場環境も劣悪なため、山脇君のとき、宍粟市に新しく社屋を建築した。今その社屋は、新光建設が買い取り使用している。新光住宅産業は、7年前リフォーム兵庫と共同で、姫路市東今宿に社屋を新築し本社を移転したのを契機に、社名もニューマテリアル兵庫と変更して現在に至っている。

 平成15年に新光工業を解体し、プレカット部門のみを当時の新光住宅産業に吸収合併してから数年は、損益面でかなり苦しい時期を過ごした。グループ内シェアも、サンホームグループでは70%ぐらいで落ち込みは少なかったが、新光グループでは半分以下になってしまった。私はこのままの状況が進めば、創業以来継続してきた黒字から赤字に転落を余儀なくされないと察し、ニューマテリアル兵庫が取り扱う商品や付帯工事を、他の業者が納入したり施工する場合、必ずニューマテリアル兵庫を経由しなければならないと言う命令に近いルールを設定し、各グループ並びに業者に告知した。そのシステムを『新商流』と呼び徹底させた。幾ばくかの手数料を徴収したものだから当然不人気だったと思う。その新商流システムは、ニューマテリアル兵庫の利益にも寄与したが、それまでのきな臭い業者との癒着や、正当な価格を是正する上でも大いに貢献した。ひとつの事柄を新しく導入する場合、私は必ず二つの目的をもって執り行うのである。今新商流システムは殆ど現存していないが、すっきりとした物流の流れになっており、各グループへは価格面、サービス面、納期面で役にたっていると思っている。

 平成19年にプレカット部門を新たに兵庫プレカット㈱として独立させた。《少数にすれば精鋭になる》と信じたのだが、今回は思惑通りには進まなかった。やはりトップの資質とモティベーションが何にも増して重要だと認識する結果となった。詳細は第Ⅷ兵庫プレカット㈱をご覧ください。

 プレカット部門を切り離してから業績は順調に回復し、特に昨年度第37期は売上(2,396.011千円)利益(65.952千円)共に過去最高の業績を上げることが出来た。政府の政策にも大いに恩恵を受けたのであるが、例えばLED照明による省エネ、あるいは太陽光発電による余剰電力の買取制度等々、時流に乗った商品戦術を展開した結果が業績の向上にと結びついた。今期38期はまだ詳細は分からないが、昨年度を下回ることはなさそうである。39期も前期は《消費税》効果で業績はアップする事が予想される。がしかし、ポスト消費税に関しては、全く見通しが立っておらず、先行きは不安である。これまでは、勤勉さで数々のピンチを乗り越えてきたが、これからの3年間はただ勤勉だけでは通用しない時代である。私は、事あるごとに『考えろ、工夫しろ、失敗を恐れるな』と社員には言い続けている。一週間後に行われる《第39期方針発表会》において、どのような具体的な施策が発表されるか楽しみにしている。