或る二世経営者のホームページ ~香山廣紀 かく挑み、かく歩む。~

或る二世経営者の挑戦


終章 ~それからの「或る二世経営者」~


Ⅱ サンホーム兵庫の章

《人間は見たいものしか見ない》

 

~共通言語は西嶋の運動会~

 

 『人間は見たいものしか見ない』とは、2000年以上も遡る紀元前の時代、ローマが共和制から帝政へと移行期における、希代の天才『カエサル』(英語名シーザー)の言葉である。

 私もその部類に属する典型的な人間である。58歳になってようやく『会社は何のために存在するのか?』が解ったのである。それまで幾度となく様々な場面に遭遇し、その都度知りえる機会は数多く在った筈である。唯それを感じ取る感性というかセンサーが作動せず、なんとなく企業経営を執り行ってきたのである。可哀想で迷惑なのは、こんな無感性な社長をトップに持った従業員である。

 それは舞い込んできた一枚のCDとの邂逅である。普段ならろくに聞きもせず、机の引き出しの奥にでも仕舞い込んでいる代物だが、その時は何故か帰宅の車中で聴いたのである。今でも体中に電流が走った感触を覚えている。次の日の朝の出勤中も車中で、帰りもまた次の朝も、7~8回くらい聴いたであろうか。そのCDは簡単に纏めると《人間はなんのために生まれてきたのであろうか?人間は幸せになる為に生まれてきたのである。企業は様々な組み合わせで、いろんな業態を示しており複雑そうに見えるが、共通していえることは人間の集合体であり、主役は人間である。人間は幸せになる為にこの世に生を受けたのであるから、その集合体である企業経営の目的も当然「全ての従業員の幸せ」である。》と語っていた。

 企業経営の目的はそれに関わる全ての人が幸せになることである。

 では幸せとは何であろうかと言う命題にぶち当たった。来る日も来る日もそれを考え続けていた。平成19年の12月の中頃だったと思う。営業マンと年末恒例の(或る二世経営者の挑戦第三部第一章、「必ず一度はお会いする」参照)営業マンとのお客様訪問の時である。

「次お伺いする人はなんと言う名前?」

「後藤さんと言う人です。」

「お仕事は?」

「電器ショップをしておられます」

「現場監督は誰?」

「西嶋さんです」

「ほう、西嶋ならいい監督だからお客様も喜んでおられるだろう」

「はい、それは満足しておられます。でも一度こういうことがありました。」

お客様との現場での打ち合わせが急に入り、西嶋君は、楽しみにしていた子供の運動会に行くことが出来なくなり、それを悔やんでいたと言うのである。営業マンのニュアンスは、運動会より当然仕事が優先する、と言う感じだった。

「それは違う、西嶋は打ち合わせなど行かずに、運動会に行くべきだった。」と言うと、営業マンは少し驚いた態度を示した。

 その翌年の初出式の席上で私は全グループの目的を『幸福の追求』であることを明示し、幸福とは人それぞれの価値観によって異なると説き、西嶋君の話をした。車の免許書の中にも家族の写真をいれて持ち歩き、誰よりも家族を大切にしている西嶋君にとって、幸福とは家族の幸せである。幸福の基準は人間全て異なる。或る人はお金、またある人は出世、地域との融合、海外旅行、彼女&彼氏、食べ歩き、趣味、習い事、友人、等々なんであっても構わない、本人が幸せを享受すればそれでいいのである。平成20年の新年から我がグループにおける企業経営の目的は『幸福の追求』であり、幸福とは?『西嶋の運動会』が共通言語となった。

 

~知行合一~

 

知行合一とは、中国における明の時代に王陽明が唱えた儒学の一説で、日本では中江藤樹や熊沢蕃山らが受け入れ広めた。簡明に言えば、知識としていくら知っていてもそれが実践され役に立たなければ、何の価値もないと言う意味である。

サンホーム兵庫を含む全ての会社では、半期毎に方針発表を行う。掲げた目標経営数字を達成する為に、前提となる戦略思考の基、基本戦略を立て、どのような戦術をいつごろまでに展開するかを発表する。前提となる戦略思考は6つあり、ここ10年以上変えていない。①One To One思考(あなた一人のためのマーケティング)②IQ(知能指数)よりもEQ(感性指数、あるいは思いやりの心)③市場、商品シェアからエリア&お客様シェア④企業も個人も成長するものだけが生き残る⑤地域に融合した企業(対外的広報活動)⑥環境保全。基本になる戦略はその時々において私が指し示す。それらを基に「事業計画策定会議」と称して一日を費やして、一年の事業計画を策定する。時には深夜に及ぶこともあった。10年位前までは1泊2日で取り組んでいた。それくらい時間とエネルギーをかけて策定し執り行った方針発表も、期末にどれくらい実現したかを測定してみると、20%にも満たないのである。いかに行うことが難しいかを毎年のように実感させられていた。

知行合一の困難さである。

マネジャー以上の幹部は言い訳の天才である。「よく言っているのですけど」は何千回聞いたことであろう。どういう形にせよ、伝えたり言ったりしただけでは何一つ意味はなさないのである。戦略や戦術を展開し実践し、「成功か失敗」か、いずれかの結論を導かなければならない。私はそれを「発信主義から到着主義」という表現で理解を得るように努めた。

「成功か失敗か」と言う表現を用いたが、これもカエサルの言葉であるが、「よく考えられた敗戦は、何も考えなかった勝ち戦より遥かに価値がある」と残している。成功や失敗にしても、実際に行動を起こしてこそ得られる結果であり、アクションがなければ何一つ手にすることは出来ない。無から有は生じないのである。私はそれを18か条の憲法第9条の中で「事を起こすに当たっては必ず意図することが大切である。なぜなら、上手くいっても失敗しても、その原因が解らないではないかと」と記している。

知行合一。それはマネジメントを行う上において、永遠の課題かもしれない。

 

~お客様視点~

 

 かれこれ20数年以上前になると思うが、CSと言う制度を導入した。(詳しくは「或る二世経営者の挑戦、第1部第3章、CSは新入女子社員が教えてくれた」を読んで頂ければ、さらに理解が深まると思われる。)当時CSについて世間の認知度は全くと言っていいほどなかった。今ではCSを唱えない企業は皆無である。CS度、と言う測定値があるとすれば、最も低い金融関係でさえも「お客様第一主義」を堂々と掲げている。その一例であるが何年か前、私はどうしても金融機関の窓口へ行かざるを得ない用件があり行った。中に入ったがどうしていいか全く分からずオロオロしていると、客のひとりにレシートのような紙切れを取って、窓口の上に自分の番号が掲示されたら、そのレシートを持って窓口へ行くように、と教えられた。10数分待って番号が掲示されたので窓口へ行くと、今度は番号札を渡された。また10数分待たされて、自分の番号札が呼ばれたのでいくと、私の用件を尋ねられ手続きを開始してくれた。次にまた10数分後に私の名前が呼ばれ、やっと手続きが完了した。

 「顧客満足」を勘違いしている企業が私は90%以上あるように思う。真の顧客満足は

「お客様第一主義」でもなければ「顧客満足度100%」でもない。それらの考え方は全て「供給者側」の論理なのである。だからマニュアルがありシステムが存在する。その結果どうなるかと言えば「マニュアル通り行ったから」「システムにのっとり行動した」が罷り通るのである。突き詰めれば「それで満足しないのはお客様に問題がある」という結論に達するのである。真のCSは絶対「お客様視点」でなければならない。お客様は全て異なる。誰一人として同じ人間は存在しない。価値観を始め、これまで歩んできた人生、環境等々においてである。故に我がグループには、CSに関するマニュアルもなければシステムも存在しない。

 少なくとも、サンホーム兵庫をはじめ各グループの社員には「お客様視点」という概念は行き届いていると自負している。

 更に真実を語ればその根底は従業員満足が絶対的条件である。全ての社員が満足はしていなくても、最小限不満だけは抱いていない環境をトップは作らなければならない。何故なら、お客様との真実の瞬間の多くは社員との関係において発生するからである。その社員が不満を持って業務に携わっているようでは、お客様に心からの満足など与えることは出来ない。

 

~社内分社~

 

 私は真剣に株式の上場を考え、野村證券のIR部の人を招聘し、勉強会を行った時期があった。一年間くらい続いたと思う。メーカーとも何度か交渉したが、「それだけは認められない」という結論に達した。その結論を踏まえて「分社戦略」を推し進めた。設立順に列挙すると、リフォーム兵庫、カーペンターズ兵庫、ガーデン兵庫である。

 私は一つのことを二つの目的で執り行うことが多くある。「分社戦略」もそうであるが、目的の一つは、専門性の追求することにより生産性の向上を図る為であり、今ひとつは「能力のリストラ」を断行し、本体である「サンホーム兵庫」の健全性を取り戻すためである。

 この狙いはものの見事に当てはまり、どちらの目的も達成することが出来た。しかしながら組織と言うものは、時々混ぜてやらないとボウフラが湧くし、糠みそも腐ってしまう。もうこれ以上法人として細分化は不可能なので、この「分社戦略」の思想を、少し肥大化しつつある企業の中に取り入れて展開しようとしたのが「社内分社」の基本的な考え方である。

 事業を執り行う上で繰り出される「粗利額」の範囲内で経費を賄えば、企業は潰れる事はない。当たり前の事だが、それがいろんなことに幻惑されて見えなくなってしまうのである。

単純明快。経費<粗利額。社内分社の基本戦略である。

 課題は、どのような形態で分社を形成するかと、成果配分の方法である。この二つを納得する目に見える形で表示し、幾ばくかの成果配分を出来るだけ早い時期に行えば、必ず成功すると信じている。

 私が退任までの三年間を費やし、一年目は考え方を、二年目は試用期間とし、三年目には本格的に導入し、幾ばくかの成果配分をすることが出来た。しかし、人間は頭で理解していても、感情ではなかなか割り切れないものである。当初描いたようには上手く流れていないようだが、私が関われなくなるまでには、完成したいシステムである。

 社内分社システムが完全に確立すれば、向こう20年は崩壊しないと断言できる。

 《一》少数にすれば精鋭になる。

 《二》稲盛式アメーバ組織は究極の集団形態である。

 《三》人間は見たいものしか見ない。

 これらを凝縮した組織形態こそが「社内分社」である。

 

    二つの業態

 

 企業は大きく分類して二つの業態に分かれる。ひとつは見込み産業で今ひとつは受注産業である。

 見込み産業の具体的な例としては、パナソニックやユニクロ、そしてイオン等のスーパーマーケットなどから飲食店、クラブ、スナックに至るまで様々である。

 例えばパナソニックなら、市場を分析し、この商品ならどの層にこれくらいは売れるだろう、と予測し、その予測に基づいて生産計画を立てる。物流や原材料の調達にどのくらいのコストを要するか査定し、売価を決める。テレビ等の広告媒体を使って宣伝し、売れれば増産し、売れなければ減産する。ユニクロなら今シーズンはこの商品を中心に販売計画を立て、毎日の売れ具合に基づいて陳列を変え、商品そのものを値頃感で売っていく戦略である。消費者への認知の方法は、パナソニック・シャープ・ソニー・イオンなどと同様にテレビ等の広告媒体が主である。クラブを含めた飲食店の部類は、今までの感と経験と少しの予測で、明日の来客数を想定し、仕入れやバイトの店員、ホステス等の人員計画を立てて準備をする。そんな単純ではない、もっと複雑で綿密で用意周到である、とお叱りを受けそうだが、素人の勝手な推測だと思ってご容赦願いたい。

 一方受注産業は、我々が首まで浸かっている事業分野である。受注産業の一番の弱点は「一寸先が闇」と言うことである。仮に今月受注が普段の月の150%あったとしても、来月それだけの受注量が確保できるかといえば、その保障は皆無である。そして更に厄介なことに我々の所属する請負業においては、受注即売り上げには結びつかず、決算数字に反映するのは、早くて6ヶ月、通常9ヶ月位の時間を要するのである。故に事業経営の安定化を図るためには、『受注残』の備蓄が生命線である。そのためには、常に有力な『見込み客』を確保しておかなければならない。

私は2年前に、『幾代にもわたる繁栄のた

めに』というタイトルで、浄土真宗に於ける

親鸞聖人の教えを捩って《御文章》として、

全社員に配布した。

 

 

御文章

 

  ~幾代にもわたる繁栄のために~

 

企業は常に生成発展しなければならない。それが資本主義の原点である。我々は、人間が生きていく上において最も重要であり、必要欠くことのできない要素、即ち衣・食・住のうち、住に携わっていることを誇りに思い歓びを感じなければならない。企業経営の目的は言うまでもなく関わる全ての人が幸せになることである。関わる全ての人とは、社員とその家族、パートナーとしての下職とその家族、そしてお客様である。尚、お客様とは、当社で建てて頂いた人と、私と関わる全ての人である。

 『生成発展』を繰り返し『幸せを享受』するためには、その財源を確保しなければならない。無から有は生じないからである。財源を確保するためには、売上を伸張するか、もしくは粗利額を増やさなければならない。売上とは数量×値段(単価)である。数量を増やすためには、間口の拡大を図るか、生産性を向上していくことが肝要である。間口の拡大には、拠点を展開し新しい商品を開発し需要を創出する必要がある。そして常に『増客』を図らなければならない。生産性の向上を計るためには、社員に『意欲』と『知識』の両面から教育を継続的に行うことが大切である。又値段(単価)を上げるためには付加価値を高める以外にない。粗利額を増大していくためには『お客様の満足』が絶対的条件である。何故なら、粗利額=満足度、だからである。

 我々の事業分野は『受注産業』である。故に常に『増客』を心がけ、絶えず増やし、確保しておかねばならない。そのことを特に幹部やリーダーは肝に銘じておいて欲しい。増客を図る方法はいくらでもある。モデルハウスに来た人はもちろん、各種イベント、紹介、全社員の身の回りの人々等々、無尽蔵である。その中で見落としがちなのは、我々が建てたアパートやマンションの入居者である。今一度システムとして見直すべきである。業績を安定させるための最大の方策は繰り返し受注を頂くことである。又賃貸管理はダイヤの原石である。そこから安定した利益を創出することは急務である。

 奈良東大寺の二月堂で執り行われる『お水取り』は今年(平成23年)で1260回を数える。あのローマは、王政、共和政、帝政と統治形態は変遷しながらも1200年続いた。今世界で1000年以上続いている企業が7社あるそうである。そのうち2社が日本の企業である。企業は理念や哲学が最も重要である。しかし同じくらい大切なことは、立てた戦略に基づいて実践しなければ何の意味も持たない。所謂『知行合一』である。企業は今も昔も『ナンバーワン』か『オンリーワン』でなければ勝ち残れないし、成長しない。その先は消滅しかないのである。生成発展し健康体で勝ち残るためには、売上と粗利額の増大を図らなければならないし、営業利益率3%は必要であり、自己資本率は最低40%を確保し、借入金も出来るだけ少ないほうが良い。コミュニケーションを十二分に取り、風通しを良くしておかねばならない。社員業は社長代行業であると心得、向学心を持ち努力を怠らず、常に感性を磨くべきである。左脳だけでなく、右脳も鍛えなければあらゆる変化に対応できないのである。

 今こそ愛社精神を持ち、一致団結し、自分のために自分自身の家族のために、自分のチームのために会社のために、地域のために愛する日本のために、しいては地球のために、前向きに明るく力強く前進して行こうではないか。

[今私が考えられる事を遺言書のような想いで書き綴った]

 

     新しい需要の創出

 

 2014年には消費税が段階的に引き上げられ、今の5%から10%になることは自明の理である。その間仮需要的に住宅の着工戸数は伸びるであろうが、その反動は大きく70万戸時代が来ると推察される。人間は分かっていてもその状況に陥らないと実感しないし、対策も打とうとしないものである。しかし対策を今のうちに講じなければならない。そのことは、機会あるごとにグループ各社に警鐘を鳴らしている。

 サンホーム兵庫では、新築戸建事業とアパート部門だけでなく、何年も前から「周辺事業」と称して様々な分野で事業化を進めてきた。先ずリフォーム部門を独立させ、㈱リフォーム兵庫として立ち上げた。今期(2013年度)売り上げ利益とも過去最高の業績数字でグループの模範企業にまで成長した。賃貸部門は3年ほどの忍耐時期はあったものの、今では、サンホーム兵庫の社内分社のひとつである『ストックビジネス分社』の売り上げでも収益面でも大きく貢献している。そこから派生したアパート、マンションの「リノベーション事業」は、ストックビジネス分社の収益部門で中核をなしている。ただ中古流通住宅部門は私が描いていたビジネスモデルには未だ程遠い状態であるが、いずれは花形事業になると信じている。

 資産活用分社では、従来のアパート事業だけでなく、すでに到来している高齢化社会に対応すべき福祉関連事業に積極的に取り組んでいく必要がある。何件かは事業化し成功例もあるが、課題としては全ての分野において、つまり営業、設計、工事の面において更なる知識武装が要求される。戸建部門は、一層の知識と感性を磨き、完売できる分譲住宅を創り出し、店頭販売を確立しなければならない。今後事業を展開していく上において、欠かせないものは「高齢化」と「環境」である。この二つのことを念頭において戦略を立案し、戦術を展開していかなければならない。

 

コミュニケーション

 

 『和気藹々』がコミュニケーションだと思っているマネージャーあるいは経営者がいたとしたら、その人達は即刻自分の地位を去るべきである。「あいつは飲みに行こうと言っても来ない。全く付き合いの悪い奴だ」となり、それが部下の評価になったりする。最低のケースである。コミュニケーションが良く取れているとは、上意下達、下意上達がスムーズに行われ、目標に向かって行動している集団の状態を言う。「和して勝つ」のではなく「勝って和す」集団こそ、真のチームワークであり、それを形成する為に必要なのがコミュニケーションなのである。

 ではどうすれば形成されるかとなると、広義の意味での《評価》を出来うる限り正しく行うことが重要である。人間は誰かに評価されてこそ生きていける動物である。部下に対して最も大切なのは《重要感》《期待感》を持って接することである。具体的には良い結果や行動に対しては出来るだけ多くの人前で《褒める》。また逆に思わしくない結果や間違った行動はすぐその場で《叱る》。昨今、褒められない、叱ることが出来ないマネージャーが多く見受けられる。変に部下に迎合し、いい人ぶっているとしか思えない。結局は部下を育てられないし、部下の人生を狂わせている。つまるところ、本当の《愛》が欠落しているのである。

 コミュニケーションを高める手法として導入したシステムの一つに「グリーンカード」がある。〔或る二世経営者の挑戦(拙著)第三部第一章バイキング料理①グリーンカード参照〕

その後グリーンカードは私が退職するに当たり、その評価の判断基準が難しいと思い、「サンキューカード」という形に変えて、今現在も各グループで使用されている。「サンキューカード」とは、この一ヶ月の間に、自分自身が心から《ありがとう》と思った行動に対してカードを送るシステムである。toとfromを書き記して、オレンジ色のメモ程度のカードに、例えば「いつも毎朝ゴミ箱の掃除をしてくれてありがとう」というメッセージを添えて、本人に手渡しをするのである。月末に集計を行い、toとfromの枚数の多かった人に図書カードを贈呈するのである。

 コミュニケーションは事業を推進していく上で最も大切で欠かすことは出来ない。或る意味全てかも知れない。勿論発しなければ何事も進まないが、発し方を間違えては意図と逆の方向にも行ってしまうこともある。厄介だがそれが経営者の使命であると心得て欲しい。コミュニケーション力とは即ち人間力でもある。