或る二世経営者のホームページ ~香山廣紀 かく挑み、かく歩む。~

或る二世経営者の挑戦


第三部 ~すべてはお客様のために~


第三章 血糖値は上がるばかり

Xデー・2003年6月13日金曜日。それは高橋にとって13日の金曜日なのか、はたまた私にとって13日の金曜日なのかは知るところではないが、兎に角 《賽は投げられたのである》。じたばたしても仕方がない、私は腹を括った。7月1日には社長に就任することは決まっているのである。
先ず私は私のエネルギーの配分をどうすべきか考えた。今現在は私のエネルギーを10とすると、サンホーム兵庫に8、リフォーム兵庫・カーペンターズ兵庫・ ガーデン兵庫に1、新光住宅産業に1位の配分だった。この年度の3月期は悪いことに私が経営に携わって生まれて初めて、サンホーム兵庫は赤字を計上してい たのである。(第一部第一章「記念植樹」参照)そう云う状況から考慮してもサンホーム兵庫に費やすエネルギー8は変えられない、その他の1・1もこれ以上 落とすことは出来ない。新光建設にかけなければならないエネルギーと重要度から判断しても、最低5は必要である。私は全体のエネルギー10を15に上げる しかなかった。
朝7時45分までにはサンホーム兵庫に出社し、通常業務や様々な会議(私は会議が大嫌いである、正確に言うと目的のない会議が大嫌いで、報告事項で済むよ うな事柄をさも重要そうに行う無駄な会議が大嫌いなのである)を精力的にこなし、午後3時にはサンホーム兵庫を退社し、4時前に新光建設に戻り、その日の 出来事や明日以降の事柄について指示をする、と言う毎日が約6ヶ月間続いた。1ヶ月ほどで実態はほぼ把握できたが、とりあえず迫っている決算(新光建設は 9月期が決算月)をどう収めるかであった。
先ず現場を実態に戻すことにした。住宅部門では売上が約2ヶ月、ゼネコン部門では約3ヶ月ほど先行していた。それを当り前にしたのであるが、そのことによ り対前年の売上比は57%になった。少しでも貰える可能性のある完工未収入金は残したが、それ以外は全て損金処理をし、また立替金、仮出金の類で相手先の 不明なもの、現場は既に終わり売上も済んでいるにもかかわらず未成工事支出金として残っているもの、また私は全く支払う必要はないといったが、父である会 長が拘り辞めさせた(よく考えてみると高橋以外の2人、つまり坂上と原田は勝手に辞めたと思うのだが、やはり脛に傷を持っていたのだろうか自主的に去って いった)3人に対してかなり正規に支払った退職金(後々会長はそれを悔やむことになった)等々を合わせて、第37期の利益は当然のことながら2億弱の経常 赤字になった。その期の11月に行った株主総会での私の営業報告書を以下に記すことにする。
 

営業報告書


私にとっても、新光建設(株)にとっても、まさしく激動の第37期でした。期中に(平成15年7月)社長をおおせつかり、約20年ぶりに新光建設(株)の 経営の舵取りをすることになり、今日まであっという間の出来事でした。
まず、従業員、とりわけ経営幹部の意識改革を図るところから始めました。経営数字だけでなくあらゆる事をオープンにし、情報の共有化に努めました。社員に 株を公開し、出来るだけ多くの人に株の取得を勧め一体化を推進しました。"稼ぐ社員シリーズ"の本を配布し、そのレポートを提出してもらい、自らが稼がな いと企業は衰退するという意識を持ってもらいました。事業計画は一人一人全てが参画し、少し努力すれば実現可能なものにしなければならないことを自覚して もらいました。約束は守るものだと云うことを社内旅行と昇給で示しました。
決算数字はご覧の通り惨憺たるものです。売上も34億と前年比で言えば60%にも満たないし、1億6千万強の損失となりました。一言で云えば37年間の垢 を落とした、という事になります。これは、私が新任者だから出来たことで、当事者であったら出来なかったことだと思います。しかし、第38期は何一つ言い 訳は出来ません。幸い上期は少なくとも3千万以上の経常利益は見えておりますし、通期においても7千万の利益は充分見込むことが出来ます。今後は気を緩め ることなく、この業界における生命線である受注残をコツコツとためていかなければなりません。今期は"お客様重視からお客様視点へ"を合言葉に、サービス 部門の強化に努め、住宅事業本部においては地域ナンバーワンビルダーを、ゼネコン事業部は地域ナンバーワンゼネコンを目指して力強く前進して参ります。
また、今期の目玉の一つでもあります活性化委員会を発足させ、各分科会つまり、戦略チーム、ESチーム、合理化チームの活動により、更に3年後、5年後の大飛躍を見据えた経営を行なっていきたいと思っております。
株主各位のご支援を心よりお願い申し上げます。
 

平成15年11月21日

新光建設株式会社                               

代表取締役 北見俊介


私は年に一度くらいの割合で人間ドッグに入る。最近ははやりのペット検査も2回ほど受けた。このように記すと随分健康管理に注意を払っているように思われ るが、家内が口煩いのと、まだ今の状態では私の代わりはいないと思われるので(本当はそんなことはなく、いなくなればいなくなったで何とかなるのであろう が、本人だけそう思っているのかもしれないが)気をつけなければ、と思い出来る範囲内で検査を受けている。これと言って特別悪い所はないが、ただ血糖値が 少し高い、と同時にヘモグロビン数値が高いのである。
これらのことがあってから早いものでもう3年が経過しようとしている。私の血糖値は当分下がりそうもない。妻の心配はまだまだ続きそうである。


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