或る二世経営者のホームページ ~香山廣紀 かく挑み、かく歩む。~

或る二世経営者の挑戦


第三部 ~すべてはお客様のために~


第二章 年に一度の親子

長女は今オーストリアのウィーンにいる。かれこれ住み始めて6年になる。何の為に遠く離れた町で生活しているかといえば、音楽、ジャンルで言えば声楽家を 目指して大学へ通いながら、時にはオーディションなどを受けている様である。もう彼女も33歳になっている。勿論独身である。私の友達や親戚連中は「青い 目の外人と一緒になるかもしれへんで」と言うが、私はそれもまた良しと思っている。家内は二度ほど彼女の住むウィーンを訪れているが、私はまだ行った事が ない。今年は是非行くつもりである。
長男は大学卒業と同時にサンホーム兵庫に入社し、昨年の9月までは営業マンとして従事していたが、一つの節目(全国で優秀営業マンとして表彰された)を超 えたのを契機に「お客様満足センター」に配属させ、メンテナンスの責任者の地位につかせている。その傍ら3ヶ月間に4週間を費やす、ロングで中身もハード な研修を受けさせている。今の立場もそう長くつかせるつもりはない。彼には気の毒だが私の後を継いでもらわなければならない。それも5年後である。私の我 侭と私のライフワークのために、彼には是非なんとしても頑張ってもらわなければならないのである。宿命だと諦め、私とも私の父とも違った経営者になって欲 しい、と願っている。その為に私は私の父にして欲しかったことを彼にしてやるつもりである。最近彼はいい経営者になるかもしれないと思いだした。大いに期 待をするところである。
心配だった次男も何とかなりそうな感じになってきた。高校時代(姫路工業大学付属)に何があったのか彼が話したがらないのでわからないが、全てにおいて無 気力になってしまった。結局無駄な浪人生活を1年間京都で送り、何一つ目的もなしに東京の青山○○学院という短期大学を卒業の後、約3年間東京で空白の時 間を過ごした。再三の我々の懇願にも似た説得にようやく応じ、3年前やっと姫路まで帰ってきたのである。東京と同じような生活を1年程続けていたが、私の 「お前、宅建(宅地建物取引主任者)でも取ってみたら」という提案に意外と素直に反応し、その講座を受け見事試験に合格し資格を取得した。信じられないこ とだが、新光建設にはその有資格者が殆どいなく、定年になった嘱託社員の資格で業務を行っていたのである。次男が資格を取得したのを機会に、新光建設での 状況を説明し、「お前、お父さんを少しは助けてくれたらどうや」と話を持ちかけ、次男を正式に新光建設の社員として採用し、取引主任者としての業務を行わ せている。やがて1年が経過しようとしている。何やかやと、家内には話しているようだが、総じて居心地は良さそうな感じである。今のところ1週間のうち4 日出勤している。残りは自分のぼんやりとした時間と、行政書士の講座に費やしている。何故行政書士かというと、最終目的資格は社会保険労務士の資格なのだ が、彼が卒業した短大では社会保険労務士の受験資格が無く、そのために行政書士の資格が必要なのである。彼がめでたく社会保険労務士の資格を取得して開業 したら、私はその事務所で働かせてもらおうと思っている。無論彼から給料を貰おうとは思っていないが、私はそこで中小企業を主とした経営コンサルタントを 行いたいと思っている。もうそのビルも完成間近である(リフォーム兵庫とニューマテリアル兵庫(旧新光住宅産業)が共同で土地を買いビルを新光建設で建築 中であり、その3階に「北見真介事務所」を予定している)。だから彼にも是が非でも頑張ってもらわないと困るのである。私自身のエンディングライフのため に。彼のニートからの脱出に心から拍手を送る。
毎年夏に長女はウィーンから帰ってくるのだが、今年は私達のハワイ旅行の留守番も兼ねて1月の末から2月の半ばまで滞在した。正確にはしていると言べきな のであろうが、明日彼女はウィーンに向けてまた旅立っていく。居たら居たで何かと物入りで騒々しいが、いよいよ居なくなると思うとやはり寂しいものであ る。昨日、長女と長男と次男の4人でゴルフをした。ゴルフというにはおこがましいが、特に長女が楽しみにしているので年に一度の恒例行事になっている(本 当は一番楽しみにしているのは私かもしれないが)。ゴルフを終えてから家族全員で、「サンタ」と「カーコ」のお骨を庭先に埋葬した。今度長女が帰った時に そうしようと決めていたのである。
家内から言わせると、一度もキャッチボールをしたことが無く、3人の子供達に対して、3回しかお風呂に入れなかった私は悪い父親で、子育て全てを家内に任 せきりだった。私は父親として失格なのは自他共に認めるところである。今更その償いをする気はないが、皆それぞれに良い子供達に育ったと感謝している。
「ありがとう」と今は心から素直に言う。

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